今回の調査で分かったことのひとつは、支払い動向がやや制限的になっていることである。ガス危機が迫っていることもあり、昨年に比べ、掛売りを行っている企業は減少し(71%対74%)、これは特にドイツを中心に活動する企業で顕著である。 コファス北欧エコノミスト、クリスティアン・フォン・ベルクが、ドイツ企業支払いの動向について詳しく説明します。
困難な経済状況の影響を受けながらも、コファスの第6回ドイツにおける企業支払いの動向調査によると、2022年の企業支払いへの影響は穏やかで、経済への衝撃よりも比較的低いようである。しかし、企業は短期的に警戒しており、また将来的にも非常に悲観的な見方をしている。
- 支払遅延の件数と期間は増加したものの、わずかであり、コロナ禍当初と同じく、非常に低い水準での増加である。支払い動向が悪化(2022年に支払い遅延を報告した調査対象企業の割合は6%増)したにも関わらず、2020年に観測されたレベルよりも低く、コロ禍以前のレベルをはるかに下回る。
- 支払遅延の平均期間は、2021年に7日短縮した後、2022年には28.7日(+1日)に増加した。
- 今年、最も支払いまでの期間が短かったのは製紙部門の企業(平均18.4日)、最も支払いまでの期間が長かったのは、金融部門の企業(平均35.0日の遅れ)であった。
- これらの現状は、企業が予想する景気の見通しによるものであり、この調査を開始して以来のネガティブな見通しとなっている。
リスクを警戒する企業は、支払い期限を短縮
今回の調査で分かったことのひとつは、ドイツ企業が再び神経質になり、できるだけ早く現金化する傾向にあるため、支払い動向がやや制限的になっていることである。昨年に比べ、掛売りを行っている企業は減少し(71%対74%)、これは特にドイツを中心に活動する企業で顕著である。 掛売りの取引を実施している企業の90%が2022年に60日以内の支払いを求めており、引き続きそれよりも短期の支払期間が主流となっている。 全体として、平均支払期間は0.2日増の32.8日と、わずかな変化にとどまっている。
-コファス北欧エコノミスト、クリスティアン・フォン・ベルク
支払い遅延はあるものの、企業への支払いは迅速
平均支払遅延の期間は1日増加し、今年2022年に28.7日に達した。この支払遅延の平均値は、調査を開始した2016年以降で2番目に低い平均値である。
また、支払い遅延は2021年の59%という低水準から、2022年には65%に微増した。これはまだ2020年の数値(68%)を下回っており、パンデミック前の平均値である82%を大きく下回っています。
『 支払遅延は主に財政難によるものであった。そして、企業によれば、これらの財政難は、一次産品、投入財、生産コストの上昇、サプライチェーンの問題、高い競争圧力、ドイツにおける需要の低下につながっている。コロナ禍の影響がそれほどなくなっていることは注目すべきところだが、パンデミックはまだ継続していることを忘れてはいけない 』 - クリスティアン・フォン・ベルク
経済への期待は全般に悲観的である
企業は、支払いに関しては依然として非常に前向きだが、ビジネスの見通しについては、過去にもこれほど悲観的になったことはない。2022年の状況についての彼らの見方はほぼ中立だが、全回答企業の38%が2023年は景気が悪くなると予想している一方で、2023年について楽観的なのはわずか14%だった。そして、この悲観論はほとんどすべての部門で観察される。
『ドイツの企業が記録的に悲観的な見方をしていることは明らかで、企業が直面しているリスクは多様である。世界的な生産チェーンの混乱と非エネルギー商品コストの上昇は、企業の輸出見通しの主要な懸念事項である。しかし、ウクライナ戦争や関連制裁、エネルギー価格の上昇などの新たなリスクも、企業の頭を悩ませている。
経済状況やマクロ的な見通しによって、ドイツ企業のビジネス拡大のチャンスに対する見方も変化しているようである。ドイツ市場は、勢いは弱まったものの、ビジネス拡大において優先順位は依然として高く、企業はEU圏や中国を重視せず、米国や欧州(EU圏外)に関心を寄せているとの報告がある。後者は、EUのロシアとベラルーシに対する制裁を回避したいという希望と関連している可能性がある』 - クリスティアン・フォン・ベルク